『挨拶の大切さについての論文を調べて参考にしたいけど、内容がサッパリわからない…』
そんな悩みはありませんか?
私も同じこと思ってました。笑
今回はそんな人のために、一生懸命、論文の内容を読んで理解してきましたので解説します♪
参考にしたのは、名古屋芸術大学人間発達部の安部孝氏による
『基本的生活習慣における「あいさつ」についての考察─ 道徳性の育成の視点として ─』
という論文です。
わたしは仕事柄、論文を読むことが多いんですが、この論文はちょっと意味不明むずかしめだったので、参考になれば幸いです!
理解しづらい論文ではありますが、良いことは書いてありますよ♪
なお、この記事の目的は本論文の主張を解釈することのみです。
論文著者個人や特定の団体等を侮辱・攻撃する意図は一切ないことを明言しておきます。
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この論文の目的
まず、この論文の目的とはなにかと言うと…
本研究では、「あいさつ」の感謝としての意味を、学校や地域社会における生活習慣の育成と、幼児の保護者の生活習慣についての意識を視点に検討する。そして、あいさつが行われ、それが価値として定着するために必要な要素について検討する。
『基本的生活習慣における「あいさつ」についての考察─ 道徳性の育成の視点として ─』 本文より引用
と書かれています。
・・・どうでしょうか?理解できますか?
おそらく9割の人がここで脱落するんじゃないでしょうか?
これは、難解というわけではなく、単純に理解しづらい文書なのです。
何より文章の理解を妨げるのが1文目の
- 「幼児の保護者の生活習慣についての意識」という”の”の連打
- 「〜〜を視点に検討する」というなじみのない表現です。
では、この文章をわかりやすく、ザックリまとめます。
- 以下の2つの視点から挨拶の感謝としての意味を検討する
- 視点1:学校や地域社会における生活習慣の育成
- 視点2:生活習慣に関する保護者の意識
- 以下の2点のために何が必要か検討する
- 挨拶がされるためには何が必要か?
- 価値として定着するには何が必要か?
少しは理解しやすくなったでしょうか?
この論文の概要
ここからは実際にこの論文での主張を見ていきます。
なお、本論文で調査されたのは、山形県の南陽市立中川小学校です。
ちなみにGoogleマップのレビューにも「元気に挨拶出来る活発な小学校」と書かれています!
素晴らしいですね♪
「交通安全ありがとう運動」とは
「交通安全ありがとう運動」は、30年前の中川小児童の行動が発祥のきっかけで誕生しました。
誕生した経緯としては、
- 子どもが横断歩道を渡ろうとしていた。
- そこへ通りかかった車が横断歩道の前で止まって子どもを渡らせた。
- 横断後に子どもがドライバーに対し、帽子を取って「止まってくれてありがとう」と礼を述べた。
ということのようです。
現在は山形県警察のホームページにもある通り、県全体で取り組まれているんですね。
横断歩道を渡ろうとする児童が、止まってくれて車にありがとうを伝える運動です。
この「交通安全ありがとう運動」のおかげで、中川小は児童が挨拶できる学校になっているようです。
ドライバーの反応は?
本文中にはドライバーからの反応として、以下のものが書かれています。
- 『嬉しかった』
- 『急いでいたけど嬉しい』
この反応が「30年前のドライバー」から来たものであるかはわかりません。
しかし、自分が運転する側であればやはり子どものこの反応は嬉しいと言えるでしょう。
伝統として受け継がれる挨拶と「交通安全ありがとう運動」
中川小では、全校指導で「交通安全ありがとう運動」について教育されています。
その結果、児童たちには「あいさつを学校のよさ(自慢)にしたい」という思いが根づいていきます。
挨拶を中川小の良さにしたいという想いから上級生たちが率先して挨拶をする。
その姿を見た下級生たちも、「挨拶は大切」と感じ、挨拶できるようになる。
下級生たちが成長して上級生になったときに同じように下級生の模範になれる
つまり、挨拶を大切にする心が、中川小のなかでずっと生き続けているわけですね♪
この論文の中で言われていることは?
ところで、『この論文の目的』を冒頭で読解しましたね。
- 以下の2つの視点から挨拶の感謝としての意味を検討する
- 視点1:学校や地域社会における生活習慣の育成
- 視点2:生活習慣に関する保護者の意識
- 以下の2点のために何が必要か検討する
- 挨拶がされるためには何が必要か?
- 価値として定着するには何が必要か?
その目的は達せられたのでしょうか?
目的①の視点1
生活習慣の育成から挨拶の感謝としての意味を検討
「学校や地域社会における生活習慣の育成」は「交通安全ありがとう運動」を指すと思われます。
確かに「交通安全ありがとう運動」においては、挨拶に感謝の意味があることはわかります。
挨拶=感謝とは言いづらいですが、感謝は挨拶に含まれるとは言えますね♪
目的①の視点2
生活習慣に関する保護者の意識
生活習慣に関する保護者の意識については、アンケートで調査されています。
ただし、これらのアンケートは、
- 春山幼稚園
- 愛子幼稚園
- 名古屋芸術大学附属クリエ幼稚園
の幼稚園の保護者に対してされていることに注意が必要です。
つまり、「交通安全ありがとう運動」を行っている中川小児童の保護者が回答者ではありません。
この点を念頭に置いて、見ていきましょう。
質問は3つです。
- 『基本的な生活習慣』について,イメージすることを5つお書きください。
- お子さんに身に付けさせたい『基本的な生活習慣』を3つお書きください。
- 『基本的な生活習慣』を身に付けさせるために大切なことは何だと思いますか。
①と③は特筆すべきことはないので、それぞれの回答については本文を参照してください。
②の「身に付けさせたい基本的な生活習慣」では、挨拶に関する回答が多かったようです。
(「食事:42」「睡眠:50」「排泄:4」「清潔:29」「着脱衣:8」「あいさつ:62」)
グラフ化すると次のとおりです。
挨拶は保護者の中で「身に付けさせたい生活習慣」として意識されていることがわかります。
目的②
挨拶がされるため、価値として定着するために必要なことは?
これらの「目的」については、「この文章が明らかに回答として該当する部分だ」と明言されている箇所は見つけられませんでした…。
強いて言えば、
中川小の子どもたちにとってあいさつ(通学途上や日常生活で)は「当たり前」であった。その行動(姿)は年長者を見習うことなどによって引き継がれた日常的なものであり、内面的な理由は「感謝──互いに気持ちよい・嬉しい」であった。動作としてのお辞儀は必ずしも感謝によるものではないが、中川小ではその意味によって根付いたのだと考えられる。
『基本的生活習慣における「あいさつ」についての考察─ 道徳性の育成の視点として ─』 本文より引用
の部分でしょうか。
まとめ:挨拶は大切!
私はこの論文から以下の教訓を読み取りました。
- 挨拶をすることで、相手に好意を伝えられる
- 挨拶されると相手は気持ちイイとか嬉しいと感じる
- (横断歩道前で停止するのは交通規則として当然だが)、感謝を伝えられると嬉しい
挨拶とは、小さいころから身に着けさせたい生活習慣です。
だからこそ、地域を含めた幼保小中一貫教育の中で育まれるべきものだと言えます。